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台木研究データ  2013年12月12日~  2015年6月・2016年8月追記

 台木はそれぞれ上部の品種に左右されやすい。3種類で比較してみるとわかるだろう。幸水・豊水・新高のそれぞれ1年生の苗木を比べ合わせればわかると思う。 幸水は同じ台木であっても、主根・主枝根(横根)は少ない。比較対象の豊水・新高は主根・主枝根(横根)が多い。

 これでわかるように、上部品種にて変わることがわかる。近年では中間台を使う(台木と品種との間に病気、特に輪紋病等に強い二十世紀)人気が増えてきている。 しかしながら台木の根には、上部品種の影響が多い。 そこで私が考えたのは、上部品種の分岐(主枝部)まで原種台木をつかえば、上部品種の影響は少なく、台木本来の特性が出てくるのではないかと考え、いろいろな品種、特性を調べ始め種をまき調べた。

 特に日本では、台木に使用されている多くは、ヤマナシ・ホクシ・マンシュウマメナシガ多い。一つ注目したいのが中国品種である。特にホクシヤマナシは現在の中国品種の原種ではないかと思い調査すると、以外にも中国北東部から南部で作られている品種は、この種が入っていた。ホクシヤマナシは現在では杜梨と言われ、中国では台木として使われている。

 このことから、自然に自生している同士、それも過酷な条件のもとで育成したもので、混雑種を作ればどのような原種ができるのか。思い立ったら作る。これしかないでしょう。

 思い立つままに2003年よりいろいろ混雑し、現在20種以上台木として使用。日本特に火山灰土に多い紋羽病に強い台木を作る研究をしている最中である。この研究には、まだまだ年月がかかりそうではあるが、ここ数年の研究の中で有望なものができそうである。
 写真1
 写真2

 写真3
 
 写真4
 写真4-2
写真5
 写真6
 

 写真1から推測されるのが根の張りまた、根の出方である。これはK1とYのかけたものである。これから、紋羽病の試験及び上部分岐での品種の試験をしたものが写真2である。これはKHRにNをかけた種である。(写真3.4)

 PにNをかけてできた混雑種を見てみると、上部分岐部分より接木下ものが2.5mほど伸びた。播種から2年目である。掘り起こし根の張り具合、主根・主枝根(横根)細根までかなり良い結果が出てきた。

(写真4-2)又5(写真5-1)はRにNをかけたものです。主根は太く、主枝根(横根)は、主根の上部より25cm下部より6本に分かれて出ている。 この状態も非常に珍しい出方である。 また、ごく一般のKHRでは、日本ナシを接木しても主根、主枝根(横根)、細根に至るまで良い結果が出ている。 この種も中国種です。

 今のことろ、どの種においても黒星や黒班病の発生は見られない。 2012年度に混雑した種は、TYHにNをかけた品種である。 (写真6)この種は1年生であるため、まだまだ未知のものがある。 なぜかというと、過酷な土地に自生した者同士をかけ合せたもので、私の考えまた、何種かにNをかけ合せた経験により、より多く期待している。 また、当初はTYHを混雑していたからである。 2014年にはK1とPを混雑する予定だ。 この種はやはり過酷な地に存在し、前に紹介した(写真5)のような根の張り方が独特でかなりの細根も持ち合わせている。 Pについてだが、安定した主枝根(横根)がしっかりと何本も出ている。 この2種類の混雑種は、かなり良いのではないかと期待している。

 また、チベット高原や、スリランカの高地に自生している梨も見逃せない種類であろう。 これからの温暖化対策に、役に立つ台木になる可能性があるのではないか。 まだまだ、私の台木の研究は終わりなく続くであろう。

 参考資料 品種名KHの台木
       
 
 

2014年、年秋に朗報が入る。 それは中国北部の梨と新疆の梨を混雑した梨である。 新疆で開発した梨ということで詳しくはわからないが、まさしく私の理想とした台木が、できるかもしれない。

 今までの経験から、鋸葉が鋭く、刻みが深ければよい台木になりやすく、病気 に強いことがわかっている。 また、根張りもよいのではないかと思う。(台木研究データ1 写真1.2.3.4)で見るとわかる。    又、この種は種が1果からたくさん取れる可能性がある。 この種が手に入れば良いのだが、努力してみる価値はありそうだ。 これまでの経過で、中国種の混雑種(日本種)はほとんどが黒星病などの葉芽の病気に強く、又主幹部は輪紋病などに強いのがわかっている。

 このことから、参考資料のKHを使い、日本種でも種のよく入る種と混雑すれば、より多くの種子が採取できるのでないかと思う。 そこで、1つの考えは、KHやK1などと、日本古来のイワテヤマナシ(この種の大きくなる種)と混雑しても、良質の台木候補ができる可能性があるのではないか、日本種には日本種が少しでも入れば、台木と品目種で不和合性の発生はなくなると思う。 

 しかし、今のところは中国種同士混雑し、日本種を接ぎ木しても不和合性は見られない。 このことからも、梨族であれば、特別のことがなければ和合するであろう。 まだまだ可能性は無限大に広がるであろう。

 N、X、TYHの根の状況を見た。(下写真1.2) 1年生で、高さ約1.5m、太さは1.2cmです。 深さ60㎝まで掘り下げた状態である。 主根の周りに脇根候補がかなり出ています。 それと主根が見える範囲ですと、2本かなり深く入り込んで見えます。 この種は過酷な地どうしを混雑したものである。 掘り下げてみるとかなりの直根、横根、細根などかなり多くみられる。

 (台木研究データ1 写真3.4)これを見ると、1年生とは見られないほどの根の成長ぶりである。 この様な根の張り方は、いままでのマメナシ系には見られない張り方である。 脇根部分より、細根が出ているのを見ると、この細根部分が成長すると、脇根などに成長する可能性がある。

 火山灰土ではある程度20㎝から30㎝下部まで、脇根が成長し細根を作り出すことにより、紋羽病は地上部より下部まで10㎝から15㎝部分が一番感染しやすいといわれている。 その為かりなくなるのではないかと思う。

 下写真を見るとわかるように、かなりの細根が主根部分より出ており、その細根が地下に向かって伸びているのがわかる。 このように脇根、細根と地下深く伸び、また一方では脇根が地上より20㎝から30㎝位を、木の成長に合わせ伸びていくことがわかる。

 この地下に伸びた脇根から、地上近くに細根を伸ばし、養分を吸収するようになるので、近年の春先から夏にかけての少雨、高温に対しての効果が期待できる。 特に近年では、6月に少雨になり、一番養分を必要とする時期に吸収できず、7月中旬まで少雨、乾燥が続くことが多くなりつつある。 また、8月になると高温、乾燥が続く昨今である。 成木の根の状態を見ると、地上近くの細根が高温、乾燥によりかなりのダメージがあることがわかる。これはかん水が出来ず地割れがあるところを観察すればわかる。 細根部分が空気と接している部分は、ほとんどが乾燥死滅しておりその機能ができていないことがわかる。

 この様な気象条件の中でも、下写真のような根の張り方は、かなり効果があるのではないかと思う。 それは、脇根の深さである。 乾燥している土壌より深く張り、そこから地上に向かい細根を伸ばしているので、高温、乾燥に強いのでないか。また、火山灰土地はとくに乾燥に弱く樹勢に影響を与えることが多く、紋羽病の発生の原因の一つになっている。

 なぜ、この種はこのような成長をするのかというと成り立ちにある。 過酷な地に自生している同士を混雑して育成したものである。 両種とも山岳地帯や寒く乾燥地帯の種であるから、根の成長が独特の伸びになったのではないかと思う。 この種の成長を見ながら、紋羽病の発生が多い園地での試験を続けて、結果を観察することにする。

 また、根頭癌腫病の危険をさけるためと、台木本来の特性を出すために、地上部分より分岐部分に接木することにする。 (台木研究データ 写真1.2.3.4)

      

 2014年10月3日追記
 上の写真を見て分かるように、主根と脇根が下へとしっかりと伸び、特に脇根は下部に伸び細根部は上部に向かい伸びている。 この伸び方は乾燥や高温に強いのでないかと思う。
 現在播種から二年目であるが高さ3メートル以上に成長している。マメナシでは考えられない成長の速さだ。
(写真下)
 この種を混雑させずに増やす方法がないか考えたところ、2つあることに気が付き試してみることにした。 
1つは挿し木である。 6月に新梢を採取し、いろいろの挿し木の方法を試すが、普通の環境では無理であった。 そこでもう一つの方法をこれから冬眠期にかけて試してみることにする。



この方法と結果は後日報告することにする。 結果は春には出るであろう。

平成27年6月 追記

 下記の写真を見て分かるように、根挿しの場合空気に触れる面積を減らし、地面すれすれまで挿すことが大事だとわかる。 ただし専門家に聞くと、色々な意見が出てくるが、発芽が今回確認できたのはよかった。 この挿し木は12月後半に普通畑にしたもので,特に根を選別したものではなく、太い良いものは直径10mmほどで、細いものは2mmほどで試験を行った。 
やはり発芽したのは5mm~8mmものが多く見られた。(写真1.2)
   
 写真1  写真2

 また、穂木の挿し木のほうだがトゲバラに近い7mm程度の穂木に発芽と発根が見られた。(写真3)専門家の話を聞くと挿し木の時期や穂木の貯蔵方法があるようだ。 またこの種は、平年で3月20日前後に開花するので、授粉用の花粉採取専門の樹にしてもよいと思う。 日本種には和合性である。 この種が自家和合性であれば、穂木の挿し木や根の挿し木をすることは必要でないのだが、来春は試す価値がある。 この種の上部の特徴は開花が早いのと、黒星に強いことである。
 
 写真3

台木について 2016追記

 交雑し4年目にRにNPを交雑したものに結実が見られた。
 この種を観察すると、葉は洋なしの血がかなり強いことがわかる。(写真1)葉全体は少し大きいが、その他は全体に洋なしに似ている。 果実は西洋なしそのもの。(写真2)
 この種の中には、果皮が赤く変色する種がある。 いろいろな種ができるものだ。 また、この種は成長が早い事と主根、主枝根(横根)が多いのが特徴だ。 
 この種を白紋羽病がひどく発生している圃場に、2年前に植え様子をみたところ、かなり良い成果を上げている。
(写真3)2年目ではあるが、一般に販売されている苗木と比べればわかる。 また、PGの台木だが、1.2mの所で、秋のほほえみを接ぎ木したものを、白紋羽病がひどい圃場に植えて様子を見たところ、一般の苗木よりもかなり強いことがわかる。
 このことから、ひどい紋羽病の圃場には樹勢の強い種を植えた方がよいのではないかと思う。 ただ、この種に幸水などを接ぎ木しても、樹勢は変わらなく強く維持できているが、まだ経過を見る必要がある。
 写真1 写真2  写真3 

 
 ヤマナシ系の台木で、樹勢の比較的強い豊水など、紋羽病がひどく発生している圃場では、2,3年は成長するが、突然紋羽病にかかり、枯れる場合が多い。 この種はまだ2年だが樹勢は衰えていない。 また、PRの台木を使い陽香を紋羽病がかなり多い園地で試験をして頂いているので、結果が楽しみだ。
 台木の性質を最大限に生かす方法は、台木を分岐地点より先に延ばし、そこに接ぎ木すると、台木の持っている性質がかなり出るのではないかと、これまでの経験から思われる。(下記図)



偶然できた。
 交雑種をいろいろ作り出している中で、HSRとNPの交雑種が三月下旬に開花し、四月一日には満開になる種ができた。日本種との和合性は和合で試験済み。黒星病にかなり強い。他の病気も現在までは特にない。 自分で使う授粉用花粉は、自分のところで採取できれば、安心して使える。 
 輸入花粉をいつまでも使うことができればよいのだが・・・・。いろいろあるから・・・・。
三月下旬に花粉が採取できれば、その年の授粉用の花粉が採取できるので、かなり楽になる。
花粉もかなりとれそうだ。 まだまだ調査しなければばらない。(下記写真)
 

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